2021/10/16
パンの誤解・・・
よく耳にする話(誤解)ですが、たぶんこれを正しく知ってる方は10%だと思います(わたしの憶測)。
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「天然酵母パンの方が身体にいいですよね!」
「イースト使っているんですか・・・(ちょっとショック)」
「当然、イーストは使ってないですよね!(だって身体に悪そうだし)」
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上記はぜんぶ、誤解です。
まず、「天然酵母」も「イースト」も、どちらも自然界に存在する酵母です。そのため、天然酵母に対する人工的なものとして「イースト」と表現がされている場合がありますが、これは誤りです。
そもそも「イースト」とは・・・
“イースト(パン酵母)”はもともと自然界に存在した野生酵母の中から製パンに適した優良菌株を抜粋して純粋培養しています(そして、それを遠心分離器にかけて、培地と酵母を完全に分離し、しかも、洗浄し、乾燥させています)。日本のパン業界では、“製パン用酵母”の呼称としてパン酵母を意味する英語の「イースト(Yeast)」を慣用的に使用していました。このイーストという呼び方には、消費者の一部にイーストと酵母は違うものと認識され、非天然、あるいは安全性が低いものといった誤ったイメージを与える傾向があります。(そこで、日本では、このような混乱を避けるために、いまでは、パン製品の原材料表示では「イースト」から「パン酵母」と表示するようになっています。)
でも、「イースト」って、なんか身体に悪そう・・・
わたしは、イーストは極めて安全性の高い製品であると思っています。(安全性が、「完全」ではないのは、どの食品でも同じですが。)
イーストに対して良くないイメージがあるとしたら、その原因は、「イーストフード」という似た名前の、全く別物のせいだと思います。
イーストと、イーストフードは、全く違います。
イーストは、パンの酵母。
イーストフードは、酵母のエサで、添加物。毒性もかなり強いです。日本では、パンにだけ使われることが許可されています・・・この”パンにだけ”というところが曲者で、だからパン作りに使われる「イースト」が勘違いされるのかなと感じました。(私の知る限り、スーパーやコンビニのパンには入ってる可能性はありますが、町のパン屋には、ほぼ入ってることはないでしょう。もちろん、私の日本の前の職場も、プノンペンのサンチャでも、イーストフードは不使用です。)
それでも、「天然酵母」の方が安全な気がするけど・・・
そうとも限りません。
種起こしから種継ぎにおいて温度管理などで不備が生じると、雑菌の繁殖が起こやすくなります。
じゃあ、「天然酵母」って正しい表現なの?
このようなパンは、果物や穀物に付着している酵母に小麦粉、水などを加えて培養を繰り返しています。そのため、「天然酵母種」または、「天然発酵種」という方がより正確です。また、この天然酵母種を独自でぜんぶやってる(種起こし〜種継ぎまで)ものを「自家培養発酵種」と呼ぶことがあります。
わたしがパンの世界に入って7年ほどですが、わたしの上司・先輩(そもそもこれを教えてくれた)やネット以外では、これを知ってる方にお会いしたことがありません。ちなみに、わたしはパン屋に入る前までは知りませんでした。
お客さんにも(お聞きしてくれた方にはお伝えしていますが)やはり、お会計時間が秒単位のパン屋の空間ではなかなかお伝えしきれず、実はこの3年・・・5年くらい、いちばん伝えたかったことでした^^;; 読んでいただいた方、ありがとうございます!
※今回のブログについては、とてもわかりやすく解説してある「おいしいパンの百科事典」より引用しています。